HEG-20-10-2|The Politics of Supported Bias

男系男子とは何か

── 生殖バイアス・support・制度

男系男子継承とは、精子の系譜を継承の正統性として特権化した制度である。


「男系男子」という言葉は、しばしば伝統や歴史の問題として語られる。

しかし、もう少し構造的に見ることはできないだろうか。

価値とはバイアスの持続であり、制度とは、そのバイアスを支える support の持続である。

この視点から見ると、男系男子とは、

特定の生殖バイアスを制度化した継承原理

として理解できる。


男系男子というバイアスは、長い間、側室制度、家父長的な家制度と婚姻制度、高い出生率、という support によって支えられていた。

つまり、男系男子という制度は、男系男子という価値だけで成立していたのではない。

それを支える社会構造全体によって成立していたのである。


ところが近代になると、それらの support は次々に失われていく。

側室制度の消滅。

一夫一妻制。

家制度の解体。

少子化。

すると、男系男子という bias は残ったまま、それを支える support だけが消えた。

男系男子はここで初めて、制度問題として露出する。


だから現在の論争は、男系男子か女系か、という価値対立だけではない。

失われた support を何で補完するのか。

という制度設計の問題なのである。


出生とは共同編集である。

男系男子は、共同編集された生命を、精子側の系譜だけで記述する制度である。

それゆえ、そこに理論的な緊張関係が生まれる。


男系男子は、正しい価値でも、間違った価値でもない。

それは、歴史の中で形成され、持続してきた一つのバイアスである。

そして、政治の役割は、そのバイアスを絶対視することにも、否定することにもない。

異なるバイアスが共存できる制度を編集し続けることにある。


男系男子とは、一つの生殖バイアスを制度化した継承原理である。

生殖
   ↓
精子系譜への拘り
   ↓
父系継承バイアス
   ↓
男系男子という価値
   ↓
側室制度などのsupport
   ↓
皇位継承制度

男系男子継承とは、精子の系譜に特権的価値を与える生殖バイアスを制度化した継承原理である。


乱暴な言い方をすれば、それは「男根精子イデオロギー」とも呼べるのかもしれない。
しかし本稿の関心は、そのレッテル貼りではない。問題は、生殖に関する特定のバイアスが、どのようなsupportによって制度として持続してきたのか、という点にある。


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本稿(HEG-20-10)は皇室制度を論じているのではない。supported bias という制度一般の構造を、皇位継承制度を事例として考察している。


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