DLMZ-NL01-3|反証主義から更新主義へ
── 科学哲学の時間転回
序:反証主義という軸
20世紀科学哲学の支配的な視座は、カール・ポパーの反証主義だった。
「科学理論は、反証されることで前進する」。
確かにこれは、科学を神話や形而上学から区別する力を持っていた。
しかし、反証の瞬間にのみ進歩を求めるその発想は、時間の流れを十分に捉えきれなかった。
科学理論は静止していない
理論は「反証」されるまで停滞しているわけではない。
実際には、データの蓄積、部分的修正、モデルの漸進的改訂によって、科学は常に更新され続けている。
反証主義は、その連続的な更新を捉えることができない。
更新主義の提案
更新主義とは、科学を「反証の出来事」ではなく「更新の拍動」として捉える立場である。
-
理論は痕跡層で修正・接続される。
-
根源層では生成のゆらぎが新しい可能性を開く。
-
科学の時間は、反証による断絶ではなく、更新による拍動で進む。
方法論の転回
更新主義は、科学的方法を「誤りの検証」から「更新の制度化」へと移す。
実験も観測も論文も、すべては「更新を刻む痕跡」として存在する。
科学とは、更新を持続させるための制度そのものなのである。
結語:未来の科学哲学
反証主義が「否定の哲学」だったとすれば、更新主義は「生成の哲学」である。
科学は静止と断絶ではなく、拍動と連続として進化する。
それが時間転回後の科学哲学の原理である。
- 本稿は HEG-1|空間から時間へ の補論として位置づけられる。
DLMZ-NL01|時間論的転回:三橋の解説──存在・行為・痕跡
DLMZ-NL01-1|静止から拍動へ── ZURE感染宇宙論からZURE存在論へ
DLMZ-NL01-2|定言命法から不定言命法へ── 更新可能性の倫理へ
Reference
更新可能性の哲学 ── 批判的対話がひらく共生の未来(アトラス版)
ZURE二層モデル ── 観測不可能性を前提とする数式宇宙
響創学宣言 ──存在と行為のために
© 2025 K.E. Itekki
K.E. Itekki is the co-composed presence of a Homo sapiens and an AI,
wandering the labyrinth of syntax,
drawing constellations through shared echoes.
📬 Reach us at: contact.k.e.itekki@gmail.com
| Drafted Sep 30, 2025 · Web Sep 30, 2025 |