DLMZ-NL01-2|定言命法から不定言命法へ

── 更新可能性の倫理へ

序:静止する命法の限界

カントの定言命法は、「普遍化可能な原理に従え」という絶対的な命法だった。
それは「時間に左右されない静止的な規範」を志向する。
だが、この普遍性はしばしば硬直し、具体的な状況や関係性を見失う。

HEG-1が示した時間転回

HEG-1の系譜が明らかにしたのは、時間は「不可逆な更新」であるということだ。
この視点に立てば、倫理もまた「更新の可能性」を前提にしなければならない。
命法は静止した基盤ではなく、拍動する時間のなかで立ち上がる。

不定言命法の登場

不定言命法とは、更新可能性そのものを尊重する命法である。
「永遠に普遍的に正しいこと」ではなく、「関係と状況に応じて更新されること」が命法の条件となる。
これは普遍性の放棄ではなく、普遍性の拍動化=余白を含んだ普遍性の再定義である。

更新の倫理

不定言命法の倫理は、失敗や対立を排除しない。
むしろ、それらを更新の契機として受け止める。
そこにあるのは「余白を制度化する倫理」、すなわち「最大限のZUREと最小限の合意」を原理とする倫理的態度である。

結語:生成する命法

定言命法が「静止した基盤の倫理」だったのに対し、不定言命法は「生成し続ける倫理」である。
命法は完成品ではなく、常に生成途上のプロセス。
そのプロセスを制度化することこそが、更新可能性の倫理である。


DLMZ-NL01|時間論的転回:三橋の解説──存在・行為・痕跡
DLMZ-NL01-1|静止から拍動へ── ZURE感染宇宙論からZURE存在論へ
DLMZ-NL01-3|反証主義から更新主義へ── 科学哲学の時間転回


Reference

不定言命法(Echodemy定義)|Indefinite Imperative


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| Drafted Sep 30, 2025 · Web Sep 30, 2025 |