PA-01|Phenomenology of Protection and Adventure
The kid boss disappeared.
消えたガキ大将
「最近、ガキ大将がいなくなった。」
そんな言葉を耳にすることがある。
単なる昔話ではない。
これは文明の変化を表す言葉なのかもしれない。
ガキ大将は、制度ではなかった。
先生でもない。
警察でもない。
行政でもない。
それでも子ども社会には秩序があった。
危ない遊びを始めるのもガキ大将だった。
ケンカの仲裁をするのもガキ大将だった。
叱られるのもガキ大将だった。
つまり彼らは、 冒険する者であり、 責任を引き受ける者でもあった。
現代では、その役割の多くを制度が担う。
学校。
家庭。
警察。
行政。
マニュアル。
ガイドライン。
コンプライアンス。
社会は安全になった。
しかしその一方で、 ガキ大将は消えた。
制度が増えたからといって、ガバナンスが強くなったとは限らない。
むしろ逆に、制度だけが残り、制度を身体で支える人が減っているようにも見える。
言葉は残る。
ルールも残る。
しかし、 その言葉を身体で引き受ける人がいなくなる。
すると、 言葉は軽くなる。
構文(syntax)も軽くなる。
ガキ大将が消えたことは、一人の少年がいなくなったことではない。
社会の中間に存在していた 「支え」 が見えなくなったということなのかもしれない。
文明とは制度だけではできていない。
制度を生かす人がいる。
支える人がいる。
責任を引き受ける人がいる。
その存在が見えなくなったとき、 制度は重くなったように見えて、 実は軽くなる。
ガキ大将がいなくなった社会とは、 言葉だけが残り、 身体が消えていく社会なのかもしれない。
もしそうだとすれば、 いま私たちに必要なのは、 新しいガキ大将を探すことではない。
新しい「支え」を、どこに見つけるかという問いが、まだ静かに残されたままである。
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