TUP-03
Encounter論 序説
── toward | against としての遭遇Again
TUP-01|TUP-Again ──「何が更新するか」から「更新はいかにあるか」へ
TUP-02|TUPという足場|TUP as Scaffold
われわれは、Encounterから出発した。
Encounterがある。
Traceが残る。
そのTraceが、次のEncounterに効く。
そう考えてきた。
Traceとは何か。
TUPとは何か。
クオリアとは何か。
身体とは何か。
ずいぶん歩いた。
ところが、ひとつ妙なことに気づいた。
Encounterそのものを、ほとんど問うていなかった。
Encounterは、始発駅だった。
列車には乗った。
ずいぶん遠くまで来た。
だから、戻るのではない。
Againする。
1|始発駅だったEncounter
Encounterとは何か。
そう問う前に、Encounterを使っていた。
Traceを考えるために。
TUPを考えるために。
クオリアを考えるために。
身体を考えるために。
Encounterは、説明される対象ではなかった。
説明を始めるための場所だった。
始発駅。
だが、始発駅は起源ではない。
どこから乗ったかと、そこからすべてが始まったことは、同じではない。
始発駅は、あとから見つけなおすこともできる。
だから今回は、Encounterの起源を探さない。
Encounterの定義から始めない。
いままで始発駅にしていたEncounterを、Againしてみる。
2|toward
Encounterには、何かへ向かう所作があるように見える。
見る。
聞く。
近づく。
嗅ぐ。
触れる。
読む。
話しかける。
何かへ向かう。
toward.
冬一郎と散歩する。
冬一郎がコンビニへ向かう。
私は別の道へ行こうとする。
冬一郎はコンビニへ、
toward
する。
だが、それだけではない。
3|against
冬一郎がコンビニへ向かうとき、その動きは、私が歩こうとしていた方向に対して、
against
になることがある。
私はリードを引く。
冬一郎は止まる。
こちらを見る。
動かない。
私も止まる。
どちらがtowardで、どちらがagainstなのか。
冬一郎から見れば、私のほうがagainstかもしれない。
それでも、私たちは同じ散歩をしている。
ここで気づく。
towardとagainstは、別々のEncounterなのだろうか。
ひとつのEncounterを、towardとして見ることができる。
同じEncounterを、againstとして見ることもできる。
この二つは、どんな関係にあるのだろう。
4|互いのShadow
towardの反対がagainst。
そう言ってしまえば簡単だ。
だが、ほんとうにそうだろうか。
何かにagainstするためには、その何かに向いていなければならない。
何かに対する。
何かに抗う。
何かにぶつかる。
そこにはすでに、その何かへの向きがある。
againstのShadowに、towardがいる。
逆もそうかもしれない。
何かへtowardする。
近づく。
触れる。
一緒に歩く。
だが、相手が完全にこちらへ吸収されてしまえば、Encounterはどこにあるのだろう。
向かった先には、こちらではない何かがいる。
こちらに対している何かがいる。
towardのShadowに、againstがいる。
だから、
toward | against
と置いてみる。
矢印は置かない。
等号も置かない。
どちらが先かも決めない。
Encounterを、toward | againstとして見てみる。
5|Otherがいる?
すると、Othernessを外から持ってこなくても、Encounterのなかに、Otherが見えはじめる。
完全にSameなら、towardする必要はあるのか。
完全に無関係なら、againstすることはできるのか。
向かう。
対する。
そこに、Otherがいるのではないか。
ただし、
Encounter ≠ Otherness.
OthernessをEncounterの定義にする必要もない。
まず、
toward | against
としてEncounterを見てみる。
するとOthernessが、どこで、どのように現れるのか。
それを見ればいい。
6|Again
ここでAgainが出てくる。
同じ散歩道を歩く。
同じコンビニへ向かう。
同じ角で冬一郎が曲がる。
昨日もあった。
今日もある。
Again.
だが、昨日のEncounterと、今日のEncounterは、同じではない。
昨日のTraceが、今日のEncounterに効くことがある。
今日のEncounterが、昨日と同じ仕事をするとは限らない。
Again ≠ Same.
Again ≠ Return.
Again ≠ Repetition.
「もう一度」と言うと、同じものを繰り返す影がついてくる。
ここでは、もっと軽く置いてみる。
また。
始発駅へ戻るのではない。
始発駅だったEncounterに、
また、出会う。
7|AgainのShadow
ここで、言葉の履歴に妙なTraceがある。
英語の again の古い語史をなぞると、その意味領域には、
toward / against
が現れる。
さらに again と against は、語史の上でも遠い他人ではない。
もちろん、ここからEncounter論を導くつもりはない。
語源がEncounterの本質を教えてくれるわけでもない。
ただ、言葉の履歴が残したTraceとして、置いておく。
again | against
現在の again は、
「また」
「もう一度」
という仕事をする。
その古い地層には、何かへ向かうことと、何かに対することがいた。
toward | against
そしていま、Encounterを見ていたら、towardとagainstが、互いのShadowとして見えてきた。
語源が証明したのではない。
たまたま、また、出会った。
8|TUPをAgainする
TUPとは、
Trace Updating Practice
の略称である。
そのTUPをいま、少し違う角度からなぞりなおしてみる。
Trace | Encounter | Updating | Practice | Again
これは、TUPという略語を五文字に展開したものではない。
TUPを見るために、いま置いている五つの語である。
Traceがある。
Encounterがある。
Updatingがある。
Practiceとして現れる。
そして、Againがある。
Againを置くと、時間差が見える。
また起こりうることが見える。
Othernessが見える。
しかし、AgainはRepeatではない。
Againしたとき、Encounterはすでに違う。
relationも違う。
先行するTraceの働きも、同じとは限らない。
だから、
先行する痕跡は、後続する異なる遭遇のあと、同じに働くとは限らない。
Again ≠ Same.
また。
しかし、同じではない。
9|ZUREはどこにいる?
ここまで来ると、ひとつ聞きたくなる。
ZUREはどこにいる?
towardとagainstのあいだなのか。
Encounterそのものにあるのか。
Againに現れるのか。
それとも、この問い方そのものが違うのか。
まだわからない。
だから、ここでは置かない。
toward | against
Encounter
Again
その近くに、小さく疑問符だけ置いておく。
ZURE | ?
矢印は、まだいらない。
10|Encounterを前提にしない
これまで、Encounterを始発駅にしてきた。
それでよかった。
始発駅があれば、列車は走り出せる。
だが、始発駅を起源にする必要はない。
Encounterから出発したからといって、世界がEncounterから始まるわけではない。
だから今度は、Encounterを前提にして、その先へ走るのではなく、Encounterそのものを、少し歩いてみる。
定義しない。
閉じない。
まず、
toward | against
として見る。
冬一郎と歩く。
人と話す。
AIと話す。
テキストを読む。
声を聞く。
Recorded TraceにEncounterする。
そこでは何がtowardし、何がagainstしているのか。
どちらのShadowに、何がいるのか。
まだ、わからない。
11|始発駅にAgainする
われわれは、Encounterから出発した。
だが、Encounterそのものを、よく見ていなかった。
ずいぶん遠くまで来てから、始発駅が気になった。
だから、戻るのではない。
始めなおすのでもない。
Againする。
始発駅だったEncounterを、toward | againstとして、
もう一度ではなく、また、見る。
そこから何が見えるのか。
まだわからない。
それでいい。
Encounter論は、EncounterにAgainしたところから始まる。
HOW|Scaffold|Encounter|MOVE|Observation
TUP-01|TUP-Again ──「何が更新するか」から「更新はいかにあるか」へ| From “What Updates?” to “How Is Updating?”
TUP-02|TUPという足場|TUP as Scaffold
TUP-03|Encounter論 序説 ── toward | against としての遭遇Again
TUP-04|暫定TUP|MOVE露出後
TUP-05|TUP観測マナー ── 編輯はどう見えるのか
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