構文論的・更新論的責任論
社会的 lag relation における責任の生成と存続
要旨
本稿は、責任を行為者に内在する固定的属性や、単一の規範に基づく帰属対象としてではなく、社会的 lag relation の中で構文論的・更新論的に生成され、常に争われ続ける概念として再定義する。
責任は行為と同時に成立するものではなく、行為の事後において、複数の語彙・時間軸・規範が交錯する中で構文的に編成される。
本稿は、責任を「負う/負わない」という二値的判断から切り離し、社会的関係の存続と更新をめぐる実践として位置づける。
1.序論:責任はなぜ確定しないのか
責任はしばしば、誰が責任を負うべきか、どこまで責任を引き受けるべきか、という問いに還元される。
しかし現実の社会的実践において、責任はほとんどの場合、
-
行為の事後に問題化され、
-
複数の当事者によって異なる語彙で語られ、
-
完全な合意に至らないまま扱われ続ける。
本稿は、この「確定しなさ」を欠陥とはみなさず、責任概念の構造的条件として捉える。
2.行為と責任の非同時性
行為と責任は同時に発生しない。
-
行為は瞬間的で不可逆である。
-
責任は遅延的で可塑的である。
責任が問題化されるのは、結果が可視化され、影響や被害が語られ、意味づけが開始されてからである。
この時間的遅延(lag)こそが、責任を自然属性や心理状態ではなく、社会的構文として成立させる前提条件である。
3.責任の二重語彙構造
責任は、少なくとも二つの語彙体系によって語られる。
-
事前的語彙
予見可能性、注意義務、意図、過失、回避可能性 -
事後的語彙
結果、被害、影響、説明責任、補償、非難
これらの語彙は一致しない。
むしろ不一致であることが常態である。
責任とは、この語彙的不整合を単一の基準で解消することではなく、どの構文で暫定的に接続するかという操作である。
4.社会的 lag relation と責任の生成
社会的関係は、理解・評価・合意が揃わないまま持続する。
この持続を可能にしているのが、社会的 lag relation である。
この lag relation の中で、責任は:
-
一度で確定されず、
-
異なる当事者によって再記述され、
-
時間の経過と状況の変化に応じて再配分される。
責任とは、確定点ではない。
それは、関係が緊張を孕んだまま存続・更新される節点である。
5.責任の相対性と更新性
責任が相対的であるのは、価値判断が恣意的だからではない。
責任は常に、
-
誰の視点で語られるか、
-
どの時間幅を切り取るか、
-
どの規範語彙を採用するか、
によって異なる構文をとる。
したがって責任とは、確定すべき結論ではなく、更新を前提とした社会的配置である。
6.自由との構造的関係
構文論的・更新論的自由論において、自由とは、社会的 lag relation の中で関係を更新可能なまま維持する能力であった。
これに対し責任とは、更新をめぐって関係が緊張し、争点化する地点である。
自由が「更新可能性を保持する側の能力」であるなら、責任は「更新の内容と方向をめぐって問われる構文」である。
7.結論
責任とは、行為者に固定的に帰属される属性ではない。
それは、社会的 lag relation の中で、行為の事後において、関係をどのように更新するかが 繰り返し問われ続ける構文的・更新的実践である。
責任とは、行為のあとに、関係と意味の更新をめぐって なお争われ続けている状態の名前である。
本稿は、責任を確定させる理論ではない。
責任がなぜ、そしてどのように確定しえないまま社会を存続させているのかを記述する理論である。
構文論的・更新論的責任論(ドラフト)
社会的 lag relation における責任の生成と争点
要旨(Draft)
本稿は、責任を行為者に内在する固定的属性としてではなく、社会的 lag relation の中で構文的・更新的に生成され、常に争われる概念として再定義する。
責任は行為の瞬間に確定されるものではなく、行為の事後において、複数の語彙・時間軸・規範が交錯する中で編成される。
本稿は、責任を「負う/負わない」という二値的判断から切り離し、社会的関係の存続と更新をめぐる構文操作として位置づける。
1.序論:責任はなぜ常に争われるのか
責任はしばしば、「誰が悪いか」「誰が引き受けるべきか」という明確化されるべき対象として扱われてきた。
しかし現実には、責任はほとんどの場合、
-
事後的に問題化され、
-
複数の当事者によって異なる語彙で語られ、
-
完全な合意に至らないまま扱われる。
本稿は、この争われ続ける性質を欠陥とは見なさず、責任概念の本質的構造として捉える。
2.行為と責任の非同時性
行為と責任は同時に発生しない。
-
行為は瞬間的かつ不可逆である。
-
責任は遅延的かつ可塑的である。
責任は、結果が可視化され、被害・影響・意味が語られ始めてから 初めて問題化される。
この時間的遅延(lag) こそが、責任を自然属性ではなく社会的構文として成立させる条件である。
3.責任の二重語彙構造
責任をめぐる語彙もまた、二重化している。
-
事前的語彙:予見可能性、注意義務、意図、過失
-
事後的語彙:結果、被害、説明責任、補償、非難
これらは一致しない。
むしろ不一致であることが常態である。
責任とは、この語彙的不整合をどの構文で暫定的に接続するかという操作である。
4.社会的 lag relation と責任の生成
社会的関係は、理解・評価・合意が揃わないまま持続する。
この lag relation の中で、責任は:
-
一度で確定されず、
-
複数の当事者によって再記述され、
-
状況の変化とともに再配分される。
責任とは、確定点ではなく、関係が緊張を孕んだまま更新される節点である。
5.責任の更新性と相対性
責任は相対的である。
それは価値が恣意的だからではない。
責任が相対的なのは、それが常に
-
誰の視点で、
-
どの時間幅で、
-
どの規範語彙を用いて
語られているかに依存するからである。
したがって責任は、確定すべき結論ではなく、更新を前提とした配置である。
6.自由との構造的対照
構文論的・更新論的自由論において、
- 自由とは lag relation の中で関係を更新し続ける能力であった。
それに対し責任とは、更新をめぐって関係が緊張し、ときに衝突する地点である。
自由が「更新可能性を保持する側の能力」であるなら、責任は「更新が要求され、争われる側の構文」である。
7.結語(暫定)
責任とは、誰かに帰属させれば終わる属性ではない。
それは、社会的 lag relation の中で、関係を維持するか、断絶するかをめぐって 繰り返し編成される構文的・更新的実践である。
責任とは、行為のあとに、関係をどう更新するかがなお争われ続けている状態の名前である。
PS-LR01|自由・責任・正義(AI時代の正義論のためのspin-off)──社会的 lag relations:更新する構文としてのFRJ
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