SAW2-04|置ける。外せる。継ぎ直せる。
── 自在な足場としてのプラレール
0|足場は、固定されている必要があるか
足場は、何かを支える。
そう考えるとき、足場そのものは動かないものとして想像されやすい。
Groundがあり、その上に足場を組み、その足場から何かを行う。
しかし、足場そのものを移動し、外し、継ぎ直すことができるとしたらどうか。
プラレールは、そのための妙に軽い事例を与える。
レールを置く。
外す。
継ぐ。
転轍機を置く。
駅を置く。
踏切を置く。
そして、また組み替える。
ここでは足場は、行為に先立って完成していない。
足場は、Practiceの途中で置かれる。
1|Support ≠ Ground
レールは電車を支える。
しかし、レールはGroundなのだろうか。
レールは置くことができる。
外すこともできる。
別の場所へ移すこともできる。
別のレールへ接続することもできる。
では、そのレールはどこに置かれるのか。
プラレールにも、床がある。
畳かもしれない。
フローリングかもしれない。
机の上かもしれない。
レールは、何かの上に置かれる。
では、その床がGroundなのか。
ここで、すぐにそう決めないほうがいい。
床もまた、別の条件のもとにある。
机なら動かせる。
畳も取り替えられる。
家そのものにも場所がある。
「その下は?」と問い続ければ、Groundを見つけるまで掘ることもできる。
しかし、その問い方自体がGroundを要求している可能性もある。
residue ≠ ground
プラレールを動かしても残った床を、ただちにGroundと呼ぶことはできない。
少なくとも、ここで見えているのは、
Supportには、そのSupportが置かれるLocusがある。
ということだけである。
Support ≠ Ground は、Groundの不存在を意味しない。
Groundを、未監査の残余からつくらないための区別である。
2|自在性 ≠ 無制約
プラレールは、かなり自在である。
レールを置ける。
外せる。
別の場所へ持っていける。
組み替えられる。
しかし、何でもできるわけではない。
レールには長さがある。
曲率がある。
接続するための規格がある。
車両にも、走れるところと走れないところがある。
だから、
自在性 ≠ 無制約
である。
自在性とは、制約がないことではない。
制約のある部品を、そのつど組み替えられること。
ここで「自在性」は、物の性質からPracticeへ移る。
自在な足場とは、自在な物体ではない。
置き直すことのできる足場である。
3|足場は、できることを変える
レールを置けば、走れる。
駅を置けば、停まれる。
転轍機を置けば、分かれられる。
踏切を置けば、別の動線と交差できる。
車庫を置けば、休める。
橋を置けば、越えられる。
トンネルを置けば、潜れる。
何を置くかによって、その場所でできることが変わる。
したがって、足場は単に下から支えるものではない。
Support changes what can happen.
足場は、すでにある行為を支えるだけではない。
置くことで、次に起こりうることの配置も変わる。
ただし、ここでこの働きをSupportに固有のものとはしない。
環境と行為可能性をめぐる既存の語彙によって、同じことが十分に記述できる可能性もある。
その距離は、まだ開いている。
4|分岐も、あとから置ける
転轍機は、最初からそこにある必要がない。
あとから置ける。
それまで一本道だったレールの途中に転轍機を置く。
そこから別のレールを伸ばす。
すると、それまで一本に見えていた軌道が分岐する。
ここで、
「本当は最初から分岐していた」
と考える必要はない。
分岐は、あとから置かれることがある。
転轍機を置いたあとで振り返ると、
「あそこが分岐だった」
と見える。
しかし、
分岐したから、そこが分岐だったように見える
のかもしれない。
足場の更新は、これから先に何ができるかを変えるだけではない。
すでに走ってきた軌道の見え方まで変えることがある。
5|同じレールは、同じ仕事をしない
一本のレールそのものが変化しなくても、接続先が変われば、そのレールの働きは変わる。
昨日まで終端へ向かうレールだったものが、今日は別の路線への途中になる。
昨日まで通過するだけだった場所に駅を置けば、今日は停まれる。
一本道だったところに転轍機を置けば、そこから別の線が伸びる。
同じレール。
異なる接続。
異なる働き。
same rail / works differently
足場は、それ単独で働きを持つわけではない。
何と接続され、どの配置に置かれているかによって、働き方が変わる。
だから、足場を保存することと、その働きを固定することは同じではない。
昔のレールは何も変わっていない。
それでも、別の路線の一部になることがある。
つながったから、つながっていたように見える。
6|置ける。けれど、来ちゃう。
ここまでなら、足場を自在に配置する主体の話にも見える。
私がレールを置く。
私が駅を置く。
私が転轍機を置く。
私が外す。
私が継ぎ直す。
しかし、Practiceは、配置だけから始まるわけではない。
何かが起きる。
何かに出会う。
時間が経つ。
nextは来ちゃう。
足場を置くことはできる。
しかし、
来ちゃうものまで、置けるわけではない。
自在であることは、世界を自在に配置できることではない。
足場には規格がある。
置かれるLocusがある。
そして、置く側には配置できないnextがある。
Practiceは、完成した足場の上で始まるのではない。
来ちゃったものに応じて、
置く。
外す。
継ぎ直す。
休む。
また置く。
その繰り返しのなかで、足場そのものが更新される。
7|自在な足場
足場はGroundではない。
しかし、Groundの不在を宣言する必要もない。
プラレールにも床がある。
ただし、床が残ったからといって、それをただちにGroundと呼ぶ必要もない。
residue ≠ ground
必要なところに足場を置く。
置いてみる。
使ってみる。
合わなければ外す。
別のものと継ぐ。
昔の足場を再利用する。
そうすると、昔とは違う仕事を始めることがある。
置ける。
外せる。
継ぎ直せる。
自在な足場とは、どこへでも自由に行ける足場ではない。
何でも思いどおりにできる足場でもない。
nextが来ちゃう世界で、そのつどPracticeを可能にする足場である。
完成形はない。
完成形がなくても、足場は働く。
そしてまた、
置き直せる。
Development Note
Support ≠ Groundresidue ≠ groundVersatility ≠ UnconstraintSupport changes what can happen.same rail / works differentlyplaceable ≠ controllable- 分岐は発見されるだけでなく、あとから置かれうる。
- 足場の更新は、後続の可能性だけでなく、先行する軌道の働き方も変えうる。
- Floor / placing surface:露出。Groundとは未判定。
Support | Locus:Open。LocusをGround化しない。- Affordanceとの距離:Open。
- Supportの配置・撤去・再配置による変化は、affordance vocabularyで十分に記述可能か:未監査。
- 置ける。けれど、来ちゃう。
- Status: Scaffold / Manner / Support / Reconfiguration Open
Next Mine|Locus-Manner
Floor / Sleeper / 几 / 処
Support | Locus
支える/置く/据える/止まる──そのMannerによって、Locusはいかに露出するか。
Status: Open / 未掘削
SAW2-00|Ground Zeroとはなにか ── 「答え」はどこにあるのか|What Is Ground Zero? — Where Is the “Answer”?
SAW2-01|Practice and Manner ── なぜ「作法」なのか:構文論から作法論へ
SAW2-02|軽量・強度・自在性 ── 思考の足場を組む三つのManner
SAW2-03|梯子・板・足場 ── 梯子と板のEncounter Manner
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