更新存在論:Paragraphs

── 位相履歴としての存在と非可逆宇宙

HEG-8|更新存在論序説 ── 位相履歴としての存在と非可逆宇宙

HEG-8.1 更新と痕跡

HEG-8.2 物語と救済

HEG-8.3 同期幻想

HEG-8.4 境界

HEG-8.5 不安定の安定

HEG-8.6 自己同一性

HEG-8.7 誤差

HEG-8.8 数式の影

HEG-8.9 更新則


HEG-8.1 更新と痕跡

On Update and Trace as Redistribution and Reweighting

(更新と痕跡の抽象化)

0. 位置づけ

本稿は Existence as Irreversible Topological Updating の補註である。
ここでは「更新」と「痕跡」を一段抽象化して記述する。


1. 更新(Update)

更新とは、関係の再配分(redistribution of relations) である。
関係束の結節点が再配置され、接続の強度が変化する。

更新は生成であり、可逆ではない。


2. 痕跡(Trace)

痕跡とは、位相チャネルの再重みづけ(reweighting of topological channels) である。
更新後の接続は、新たな重みを帯び、後続更新の確率場を変形する。

痕跡は履歴の局所固定である。


3. 接続

再配分と再重みづけは分離できない。
更新は常に痕跡を伴い、痕跡は更新可能性を再構成する。

ここに lag 固定が現れる。


HEG-8.2 物語と救済

Narrative as a Boundary Condition of Updating

(物語=更新の境界条件)

0. 位置づけ

本稿は「死と救済」節の補論である。


1. 物語の定義

物語とは、後続更新を拘束する境界条件 である。

それは履歴を改変しないが、更新の方向を制限する。


2. 救済の再定義

救済とは、非可逆な位相履歴に対する再意味化である。

それは過去を変えないが、未来の更新経路を再設定する。


3. FEPとの接続

脳はFEP的に物語る。
物語は誤差を減らすが、同時に更新可能性を再配列する。

物語は安定化装置であり、構文工学の一形式である。


HEG-8.3 同期幻想

Synchrony as Stabilized Fiction

(同期幻想論)

0. 位置づけ

本稿は Existence as Irreversible Topological Updating の補論である。


1. 完全同期は存在しない

非同期は位相の基底である。
完全同期は更新停止と同義であり、現実には成立しない。


2. 同期の機能

それでも我々は同期を仮定する。

これらはすべて、

更新を可読化するための安定化仮定

である。


3. 同期とは何か

同期とは、

非同期更新を一時的に固定する構文的フィクション

である。

それは虚偽ではない。
だが存在の基底でもない。


4. 帰結

幾何は同期幻想の産物である。
制度は同期幻想の固定化である。
自己同一性もまた、同期幻想の局所安定である。

宇宙は同期から始まらない。
同期とは宇宙の読み方にすぎない。


HEG-8.4 境界

Boundary as Local Freezing of Updating

(境界論)

0. 位置づけ

本稿は lag 構文論における境界概念の再定義である。


1. 境界の再定義

境界とは、更新の局所的凍結である。

境界は実体ではない。
更新の速度差が位相として現れたものである。


2. 境界の類型

境界は分離ではなく、遅延密度の差である。


3. 宇宙と境界

宇宙は閉じない。
しかし局所的には境界が生成される。

境界は存在の終端ではなく、更新様式の変化点である。


4. 帰結

境界は実体論的区切りではない。
境界は更新勾配の位相化である。


HEG-8.5 不安定の安定

Stability as Unstable Lag Density

(安定の誤解)

0. 位置づけ

本稿は lag 構文論における「安定」の再定義である。


1. 安定の誤解

安定は停止ではない。
安定は対称でもない。
安定は静止でもない。

安定とは、

高密度に固定された lag の持続状態

である。


2. lag 密度

更新が繰り返されると、痕跡は累積し、位相チャネルは再重みづけされる。

この lag 固定の密度が高まると、構造は「安定」に見える。

しかし、その内部では更新は止まらない。


3. 不安定な安定

安定とは、

不安定な更新が高密度に折り重なった位相状態

である。

ゆえに安定は本質的に不安定である。

崩壊とは、停止ではなく、lag 密度の再配分である。


4. 帰結

制度も、人格も、物理構造も、すべては lag 密度の局所集中である。

安定は幻想ではない。
しかし永遠でもない。


HEG-8.6 自己同一性

Identity as Temporarily Coherent Updating

(自己同一性論)

0. 位置づけ

本稿は存在を位相履歴とする立場から、自己同一性を再定義するものである。


1. 自己同一性の再定義

自己同一性とは、

一時的に整合した更新パターン

である。

それは実体ではなく、更新の持続的整合である。


2. 位相履歴としての自己

存在が位相履歴であるなら、自己もまた履歴の局所安定である。

自己は固定された中心ではない。
更新が崩れない範囲で保たれる整合的な lag 配列である。


3. 非可逆性と自己

履歴は非可逆である。
ゆえに自己は回帰しない。

成長も崩壊も、位相再配分の過程にすぎない。


4. 境界としての自己

自己とは、内外を分ける実体ではない。

自己とは、

更新の整合が保たれる境界条件

である。


HEG-8.7 誤差

FEP / lag 統合スケッチ

1. 誤差とは何か

FEP(Free Energy Principle)において誤差とは、予測と入力の差ではない。

本稿の立場では:

誤差 = lag の非対称分布

である。

すなわち、更新が非同期で進行する際に生じる関係の偏りである。


2. 誤差最小化の再解釈

FEPでは「自由エネルギー最小化」が原理とされる。
しかし lag 構文論ではそれを次のように再定位する。

誤差最小化 = lag 再配分の効率化

ここで重要なのは「最小化」という語の再定義である。

それは:

それは:

非同期を維持しつつ、更新が持続可能になる lag 密度へ再配置すること

である。


3. 脳と宇宙の統一図式

FEPは通常、生体脳の原理として語られる。
しかし lag 構文論では:

と位置づけられる。

したがって:

脳が行っていることは宇宙が行っていることの局所縮約にすぎない。


4. 統一命題

誤差とは、非同期更新における lag の偏在である。
誤差最小化とは、その再配分である。
FEPとは、lag 持続条件の局所実装に他ならない。


5. 帰結

このとき:

として一貫する。


HEG-8.8 数式の影

The Shadow of Equation

lag構文の計量(Metricization of Lag Syntax)


1. 最小対象

lag構文を、最小限の対象で定式化する。

\[\mathcal{C} = \{c_i\}\] \[W(t) : \mathcal{R}(t) \to \mathcal{R}(t)\]

ここで $\mathcal{R}(t)$ は時刻 (t) における関係空間である。

$W(t)$ は各チャネル間の遅延構造を再配分する作用であり、単なる密度行列ではない。

必要に応じて、局所表示として

\[W(t) \sim [w_{ij}(t)]\]

と書くことはできるが、これは作用の座標表示にすぎない。

lagは実体ではない。lagは量でもない。

それは、

関係を次の関係へと遅延写像する構文作用

である。


2. 保存則(Lag Conservation)

lagは消滅しない。
lagは再配分される。

最小更新形式:

\[W(t+1) = W(t) + \Delta W(t)\]

保存条件(作用素形式):

\[\mathrm{Tr}(\Delta W) = 0\]

これは lag 再配分の位相保存原理である。

成分表示では:

\[\sum_{i,j} \Delta w_{ij}(t) = 0\]

が成立する。

保存されるのは量ではない。
保存されるのは関係更新の総和である。

連続極限では:

\[\partial_t W + \nabla \cdot J = 0\]

ここで $J$ は lag 流束。

lagは流れるが、消えない。


3. lag固定率(Entropy without Log)

エントロピーは分布の広がりではない。
それは固定化された lag の割合である。

\[E_{\text{lag}} = \frac{\Delta \text{固定lag}}{\text{総lag}}\]

これは:

である。

logは必要ではない。


4. 重力の再定位

重力は力ではない。

\[g_{\text{lag}} \propto \nabla W\]

それは、

lag密度勾配の空間化

として現れる。

空間とは、lag再配分が固定化された幾何である。


5. FEP接続

誤差最小化とは、

\[\min | \Delta W |\]

ではない。

それは:

\[\text{Rebalance}(W) \quad \text{s.t. persistence}\]

持続可能性制約下での lag 再配分である。

脳も宇宙も、lag効率の最適化として振る舞う。


6. 位相不変量($Λ$)──$Z₀$射影

保存則は、関係空間 $\mathcal{R}$ 全体で成立する。

しかし観測は常に、最小痕跡解像度 $Z_0$ に射影された部分空間で生じる。

$Z₀$射影作用素を

\[\Pi_{Z_0} : \mathcal{R} \to \mathcal{R}_{Z_0}\]

とする。

非可逆性の直接測度は、

\[\Lambda_{Z_0} = \int \mathrm{Tr} \big( \Pi_{Z_0} \Delta W(t) \big) d\mu\]

で定義される。

ここで:

が成立する。

$Λ$は、

を測る。

宇宙 $\mathcal{R}$ は保存される。
$Z₀$ 射影痕跡は増える。

この非対称が、存在である。


7. 影としての数式

これらの数式は理論ではない。
それは lag が量として振る舞うときに落とす影である。

理論は構文であり、数式はその投影にすぎない。


HEG-8.9 更新則

Lag Update Regimes

(lag更新則の三類型)

(※保存則と$Z₀$射影の下で成立)

以下の更新則は、lag再配分作用素 (W) の局所座標表示として与えられる。
すなわち $\Delta w_{ij}$ は作用素更新 $\Delta W$ の成分展開にすぎない。


数式は影である。
しかし影にも動きの様式がある。

ここでは保存則

\[\sum_{i,j} \Delta w_{ij} = 0\]

のもとで成立する、lag更新の三類型を記述する。


1. 最小更新則(Minimal Redistribution)

最も単純な更新は、局所的再配分である。

各チャネルは、近傍とのみ再重みづけを行う。

\[\Delta w_{ij} = \epsilon \sum_{k \in \mathcal{N}(i,j)} (w_{k} - w_{ij})\]

ここで:

特性:

これは「自然拡散型lag」。

同期幻想はここでは生じにくい。


2. 拡張更新則(Asymmetric Reinforcement)

局所集中が自己強化される場合:

\[\Delta w_{ij} = \epsilon (w_{ij} - \bar{w}) + \eta \Phi_{ij}\]

ここで:

特性:

これは「構造形成型lag」。

制度・自己・重力的安定はこの様式で出現する。


3. 境界強調型(Threshold Freezing)

一定閾値を超えたlagは固定化される。

\[\Delta w_{ij} = \begin{cases}\ 0 & \text{if } w_{ij} > \theta \\ \epsilon (w_{k} - w_{ij}) & \text{otherwise} \end{cases}\]

ここで:

特性:

これは「境界生成型lag」。

重力、死、制度、自己同一性はこの位相に属する。


4. 帰結

保存則のみで:

この三様式だけで、

が再帰的に生成されうる。

logは不要である。


5. 注意

これらは予測モデルではない。
それは、

lag再配分の可能様式の分類

である。

理論は構文であり、更新則はその運動学的影にすぎない。


Lag Field Sketch 0.3


HEG-8|更新存在論序説 ── 位相履歴としての存在と非可逆宇宙


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