CABA-03-K|Kosoado
Development Note|それからの「それから」
「それから」79件・「仕舞」32件 採取台帳と稿の生成記録
CABA-03-K-03|それからの「それから」──「それ」から何処へ|補論:それからはどう仕舞うのか
0|このノートについて
本稿は、79個の「それから」を歩く文章として書いた。その足元には、採取台帳と、何度かの修正がある。本稿では見せなかったそれらを、ここに残す。
Observation first. Interpretation later.
手順は四段に分けた。
- Step 1|Occurrence Inventory:個体を固定する。
- Step 2|Mechanical Form:前後に何が見えるかを固定する。
- Step 3|Construction:構文の違いを監査する(本稿では一部のみ)。
- Step 4|Work:働きを読む(本稿の本文)。
Mechanical form ≠ Construction ≠ Work
1|使用本文と処理
- 本文:夏目漱石『それから』青空文庫・新字新仮名版。底本:新潮文庫『それから』(新潮社)。初出:「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」1909年6月27日〜10月4日。
- 機械採取には、青空文庫のテキストを集めたミラー(aozorahack/aozorabunko_text、
56143_ruby_50824)を用いた。底本は同じ新潮文庫版。公式の青空文庫本文とのスポット照合で、採取箇所に差は見られなかった。 - 処理:本文のみを対象とし、題名・記号説明・底本情報を除いた。ルビ《》、ルビ開始記号|、入力者注[#…]を除去。章は本文中の中見出し注記で区切った。
- 件数はすべて文字列表記の採取による。文法的な分類は含まない。
- 参照本文:夏目漱石「『それから』予告」青空文庫・新字旧仮名版。底本『漱石全集 第十六巻』(岩波書店、1995年)。
String occurrence ≠ Same construction
2|Step 1|「それから」79件 全件台帳
章別件数:一2/二3/三7/四5/五6/六3/七3/八1/九1/十6/十一10/十二8/十三7/十四8/十五1/十六6/十七2 = 79
文脈は前後18字。段落改行は「/」。
| No. | 章 | 出現形 | 直前 | 直後 |
|---|---|---|---|---|
| 001 | 一 | それから | …れる命を掌で抑えているんだと考えた。 | 、この掌に応える、時計の針に似た響は… |
| 002 | 一 | それから | …ら、はたりと新聞を夜具の上に落した。 | 烟草を一本吹かしながら、五寸ばかり布… |
| 003 | 二 | それから | …を置いていない様な扱かい方に見えた。 | 椅子の脊に坊主頭を靠たして、一寸部屋… |
| 004 | 二 | それから | …代助は黙って巻莨入の蓋を開けた。/「 | 、以後どうだい」/「どうの、こうのっ… |
| 005 | 二 | それから | …重瞼を赤くしながら聞いていた。代助は | 夜の二時頃広い御成街道を通って、深夜… |
| 006 | 三 | それから | …にいる。誠吾とこの姉の間にもう一人、 | この姉と代助の間にも、まだ一人兄弟が… |
| 007 | 三 | それから | …、それを調べて来たものは代助である。 | 西洋の音楽が好きで、よく代助に誘い出… |
| 008 | 三 | それから | …、この肝癪がぱたりと已んでしまった。 | 以後ついぞ怒った試しがない。親爺はこ… |
| 009 | 三 | それから | …ず、取り合う事を敢てしなかった。/ | 約四十分程して、老人は着物を着換えて… |
| 010 | 三 | それから | …み出させるに若くはない。と決心して、 | は縁談の事をついぞ口にしなくなった。… |
| 011 | 三 | それから | …置くようにと、父を諭した。/ 高木は | 奔走を始めた。そうして第一に家老を説… |
| 012 | 三 | それから | …た。そうして第一に家老を説き付けた。 | 家老を通して藩主を説き付けた。殺され… |
| 013 | 四 | それから | …のがある筈だ。と請合って帰った。/ | 約束通り門野を探しに出した。出すや否… |
| 014 | 四 | それから | …に」という言葉が茶の間の方で聞えた。 | 門野と婆さんの笑う声がした。/ その… |
| 015 | 四 | それから | …産をした。生れた子供はじき死んだが、 | 心臓を痛めたと見えて、とかく具合がわ… |
| 016 | 四 | それから | …気分が悪いので、来損なってしまって、 | は一人でなくっては来る機会がないので… |
| 017 | 四 | それから | …日は丁度、と云いかけて、句を切って、 | 急に思い出した様に、この間来てくれた… |
| 018 | 五 | それから | …聞いて始めてなるほどと云う顔をした。 | 荷物を平岡の宅へ届けた上に、万事奇麗… |
| 019 | 五 | それから | …すと気軽に引き受けて出て行った。/ | 十一時過まで代助は読書していた。が不… |
| 020 | 五 | それから | …はなれないと信じていたのである。/ | 二三日は、代助も門野も平岡の消息を聞… |
| 021 | 五 | それから | …実業家とかいう、無暗に脊の高い男と、 | 鼻眼鏡をかけたその細君とであった。こ… |
| 022 | 五 | それから | …席して、日本人と英語の会話を遣って、 | 英語で卓上演説をするのを、何よりの楽… |
| 023 | 五 | それから | …へ帰って差支なく検査を済ましている。 | この藤野の親類の何とか云う男は、自分… |
| 024 | 六 | それから | …ある所まで進行して、ぴたりと留って、 | 逆戻りをしてしまった。丁度天へ向って… |
| 025 | 六 | それから | …だ。呼吸の合わない事は同じ事である。 | 外の雑報を読んだ。大隈伯が高等商業の… |
| 026 | 六 | それから | …主張したのだそうだ。/ 代助はうん、 | 、と云って、始終面白そうに聞いていた… |
| 027 | 七 | それから | …い出す。黒い髪と、淡紅色のリボンと、 | 黄色い縮緬の帯が、一時に風に吹かれて… |
| 028 | 七 | それから | …ろう」と云って、すぐ席を離れた。/ | 三十分程の間、母子して交る交る楽器の… |
| 029 | 七 | それから | …向って、今日まで多く費やされたのと、 | 最後には、比較的金銭に不自由がないの… |
| 030 | 八 | それから | …掛けて済まない」と冷淡な礼を云った。 | 、/「僕も実は御礼に来た様なものだが… |
| 031 | 九 | それから | …を呼んだのはと云い出した。/ 代助は | 後は、一言も口を利かなくなった。只謹… |
| 032 | 十 | それからそれへ | …の新聞の記す所によれば、もし厳重に、 | それへと、手を延ばしたら、東京は一時… |
| 033 | 十 | それから | …のを、薄い象牙の紙小刀で打ち殺した。 | 手を叩いて人を呼んだ。/「御目醒です… |
| 034 | 十 | それから | …通っている、水の光を眺め尽して見る。 | その光の細くなった先の方に、高く聳え… |
| 035 | 十 | それから | …。すると勝手の方で婆さんの声がした。 | 牛乳配達が空罎を鳴らして急ぎ足に出て… |
| 036 | 十 | それから | …。そう思って又椅子へ腰を卸した。/ | 三千代の来るまで、代助はどんな風に時… |
| 037 | 十 | それから | …繊い指を反して穿めている指環を見た。 | 、手帛を丸めて、又袂へ入れた。代助は… |
| 038 | 十一 | それから | …思われた。もう一二年すると声が変る。 | 先どんな径路を取って、生長するか分ら… |
| 039 | 十一 | それから | …理に苦しめられていたのは事実である。 | 時々、頭の中心が、大弓の的の様に、二… |
| 040 | 十一 | それから | …いながら、室の中をぐるぐる見廻した。 | 、又ぽかんとして壁を眺めた。が、最後… |
| 041 | 十一 | それから | …寺坂を上った。/ 実を云うと、代助は | 三千代にも平岡にも二三遍逢っていた。… |
| 042 | 十一 | それから | …なって難有いと云う礼が述べてあった。 | 、――その後色々朋友や先輩の尽力を辱… |
| 043 | 十一 | それから | …十分ばかり縁へ腰を掛けて話した。/ | 以後はなるべく小石川の方面へ立ち回ら… |
| 044 | 十一 | それから | …、嫂は幕の合間に話し相手が欲いのと、 | いざと云う時に、色々用を云い付けたい… |
| 045 | 十一 | それから | …席へ連れて行って、愚弟だと紹介した。 | 代助には、これが神戸の高木さんだと云… |
| 046 | 十一 | それから | …日常生活の模様が委しく書いてあった。 | 、一カ月前町長に挙げられて、年俸を三… |
| 047 | 十一 | それから | …たのである。という返事が来た。代助は | 書物を廃めて、その代りに新らしい玩具… |
| 048 | 十二 | それから | …れば、家から金を取り寄せる気でいた。 | 、本来が四辺の風気を換えるのを目的と… |
| 049 | 十二 | それから | …行った。立つ前にもう一遍様子を見て、 | 東京を出ようと云う気が起った。グラッ… |
| 050 | 十二 | それから | …は座敷へ引き返して来て、袴を穿いて、 | 応接間へ出た。客と主人とはそこで悉と… |
| 051 | 十二 | それから | …ないから、面白い様にも見えなかった。 | 真偽の鑑定の為に、虫眼鏡などを振り舞… |
| 052 | 十二 | それから | …と高木とは、始め同志社を問題にした。 | 亜米利加の大学の状況に移った。最後に… |
| 053 | 十二 | それから | …居の上に両手が届く様な伸を一つした。 | 、人のいない応接間と食堂を少しうろう… |
| 054 | 十二 | それから | …た。/「うん、今行く」と返事をして、 | 、兄夫婦にこういう理窟を述べた。――… |
| 055 | 十二 | それから | …た。代助も賛成の旨を告白した。四人は | 高木の品評に移った。温健の好人物と云… |
| 056 | 十三 | それから | …られない程度のものではなかった。寧ろ | 生ずる財源の杜絶の方が恐ろしかった。… |
| 057 | 十三 | それから | …してしまうまで横になって待っていた。 | 起きた。茶の間へ来て見ると、自分の膳… |
| 058 | 十三 | それから | …東京へ帰った当時既にそれを見抜いた。 | 以後改まって両人の腹の中を聞いた事は… |
| 059 | 十三 | それから | …。又その一部分を子供の死亡に帰した。 | 、他の一部分を平岡の遊蕩に帰した。又… |
| 060 | 十三 | それから | …長く延び過ぎた髪を冷水に浸した。/ | 二日程代助は全く外出しなかった。三日… |
| 061 | 十三 | それから | …、現代的滑稽の標本だと思った。平岡は | 、幸徳秋水と云う社会主義の人を、政府… |
| 062 | 十三 | それからそれへ | …。今本郷に現われた、今神田へ来たと、 | それへと電話が掛って東京市中大騒ぎで… |
| 063 | 十四 | それから | …れども運動の不足と、睡眠の不規則と、 | 、脳の屈託とで、排泄機能に変化を起し… |
| 064 | 十四 | それから | …壊したものと認めたかった。そうして、 | 受ける打撃の反動として、思い切って三… |
| 065 | 十四 | それから | …に近く、ぴしゃりと脛を叩く音がした。 | 、人が立って、奥へ這入って行く気色で… |
| 066 | 十四 | それから | …を短かく切って、すぱすぱ放り込んだ。 | 、机に向って、三千代へ手紙を書いた。… |
| 067 | 十四 | それから | …椅子の角や、洋卓の前へ来て留まった。 | 又歩き出した。彼の心の動揺は、彼をし… |
| 068 | 十四 | それから | …様に綻びた大きな花弁を眺めていたが、 | 眼を放して代助に移した時、ぽうと頬を… |
| 069 | 十四 | それから | …。貰おうと思っても、貰えないのです。 | 以後、宅のものから何遍結婚を勧められ… |
| 070 | 十四 | それから | …三千代が横町を曲るまで見送っていた。 | 緩くり歩を回らしながら、腹の中で、/… |
| 071 | 十五 | それから | …何事も起らなかったかの様に、/「何故 | いらっしゃらなかったの」と聞いた。代… |
| 072 | 十六 | それから | …に鋭どく働らいていなかったなら、彼は | 以後の事情を打ち明ける事の代りに、先… |
| 073 | 十六 | それから | …みんな話してしまうが」と前置をして、 | 自分と父との今日までの関係を詳しく述… |
| 074 | 十六 | それから | …の結果が、ひどく代助の頭を悩ました。 | 平岡との会見の様子も、様々に想像して… |
| 075 | 十六 | それから | …へ飛び下りて冷たい露を存分に踏んだ。 | 又縁側の籐椅子に倚って、日の出を待っ… |
| 076 | 十六 | それから | …酷かったので、電車で飯田橋へ回って、 | 揚場を筋違に毘沙門前へ出た。/ 家の… |
| 077 | 十六 | それから | …経衰弱に罹っていると注意した。平岡は | 社を休んだ。本人は大丈夫だから出てく… |
| 078 | 十七 | それから | …り上げて、二三度ぱちぱちと鳴らした。 | 、少し前へ乗り出す様に、声を一段落し… |
| 079 | 十七 | それから、それへ | …た。電柱が赤かった。赤ペンキの看板が | 、それへと続いた。仕舞には世の中が真… |
監査結果:Total = 79/Chapter Sum = 79/Duplicate・Missing = 0・0
別枠(79件に含めない):「夫から」1件(六章。「三千代は…夫から不意に相談を受けた」。夫=おっと)。表記揺れ「其れから」「夫れから」、段落・空白をまたぐ「それ/から」は0件。
監査記録|60から79へ
最初の目視採取では、60件として固定してしまった。第五章の020〜023、第十三章の060、第十六章の072〜075などを落とし、一部は「幻」とまで判定していた。機械抽出で79件が固定され、公式本文とのスポット照合でも実在が確認された。
Find miss ≠ Text absence.
Close reading ≠ Exhaustive extraction.
採れなかった ≠ 無かった。
3|Step 2|Surface Form(機械判定)
表面形(句読点込み):それから 50/それから、 17/それから以後 5/それからは 2/それから後 1/それから先 1/それからそれへ 2(032, 062)/それから、それへ 1(079)=79
前環境:文頭(句点後)36/文頭(段落頭)8/読点後 22(うち「〜て、それから」11、「〜と、それから」6、「〜が、それから」2、その他3)/語の直後(読点なし)12/括弧直後 1
会話内/地の文:地の文 76/会話内 3(004「それから、以後どうだい」、069「それから以後、宅のものから…」、071「何故それからいらっしゃらなかったの」)
機械判定の限界:前後18字のみで判定しているため、箱の誤りがありうる。062の「来たと、」は並列ではなく引用の「と」。071は疑問詞「何故」の直後。会話の判定は段落内の「」の数による。
Mechanical form ≠ Final form.
Mechanical speech flag ≠ Final speech flag.
Same left surface ≠ Same construction.
撤回した仮説
一度、「それから以後/後/先」の7件を「それ|から」の最初の候補群とした。これは撤回した。004「それから、以後どうだい」のように読点が入る個体もあり、接続的な「それから」に時間語が続いている可能性を排除できない。7件は Construction Pending とした。
それから+以後/後/先 ≠ それ|から+以後/後/先
Same string ≠ Same segmentation.
4|「仕舞」32件 全件台帳
表面形:仕舞に 13(うち「一番仕舞に」1)/仕舞には 12/仕舞まで 3/仕舞う(動詞)2/御仕舞 1/芝居の仕舞 1 =32
表記の観察:名詞・副詞的な「しまい」は「仕舞」、補助動詞「〜てしまう」系はほぼ仮名(「しまっ」84、「しまう」15など)。表記は底本(新潮文庫)によるもので、漱石本人の選択とも初出表記とも直ちには言えない。
漱石本文 ≠ 現行底本表記
Orthographic attraction ≠ Etymology.
| No. | 章 | 表面形 | 会話内/地の文 | 直前 | 直後 |
|---|---|---|---|---|---|
| 01 | 一 | 仕舞には | 会話内 | …も先生みた様に身体を気にしちゃ、―― | には本当の病気に取っ付かれるかも知れ… |
| 02 | 二 | 仕舞に | 地の文 | …中々埒を開けない。代助は仕方なしに、 | に、/「久し振りだから、其所いらで飯… |
| 03 | 三 | 仕舞には | 地の文 | …て、べたべた喰っ付く様に見えて来た。 | には眼球から色を出す具合一つで、向う… |
| 04 | 三 | 仕舞には | 地の文 | …る。それが悉く尋常な言草でないので、 | には梅子も少々考え出した。これは必竟… |
| 05 | 四 | 仕舞に | 地の文 | …うしても、はかばかしく癒らないので、 | に医者に見て貰ったら、能くは分らない… |
| 06 | 五 | 仕舞には | 地の文 | …て、同じ事を二遍も三遍も繰り返した。 | には自分ながら辟易した。どうかして、… |
| 07 | 六 | 仕舞う(動詞) | 会話内 | …た。/「こら」/「まだ、そんなものを | っといたのか。早く壊して雑巾にでもし… |
| 08 | 六 | 御仕舞 | 地の文 | …頭を掻いた。議論はそれで、とうとう御 | になった。//… |
| 09 | 八 | 仕舞に | 地の文 | …いたのだが、その甲斐はなかった。/ | にアンニュイを感じ出した。何処か遊び… |
| 10 | 八 | 仕舞には | 地の文 | …上已を得ないんだろうと諦めていたが、 | にはそれが段々高じて、程度が無くなる… |
| 11 | 九 | 仕舞には | 地の文 | …様にと、後から後を付けて行った。父も | には持て余して、とうとう、時に今日御… |
| 12 | 九 | 仕舞に | 地の文 | …娘を貰う必要があるんですか」と代助が | に聞いた。すると父の顔が赤くなった。… |
| 13 | 十 | 仕舞に | 地の文 | …読書も殆んど手に着かなかった。代助は | に本棚の中から、大きな画帖を出して来… |
| 14 | 十一 | 仕舞には | 地の文 | …て、其所等をぐるぐる運動して歩いた。 | には些と酒でも取り寄せて飲もうかと思… |
| 15 | 十一 | 芝居の仕舞 | 地の文 | …の頭の何処かに潜んでいた。/ 芝居の | になったのは十一時近くであった。外へ… |
| 16 | 十一 | 仕舞には | 地の文 | …けれども、それが長くは続かなかった。 | には受取ったと云う礼状さえ寄こさなか… |
| 17 | 十二 | 仕舞には | 地の文 | …、人の恐ろしがるものばかりであった。 | には、斯様に考えなければならない自分… |
| 18 | 十三 | 仕舞には | 地の文 | …帽子を脱いで、時々濡れた頭を抑えた。 | には朝奇麗に分けた髪がもじゃもじゃに… |
| 19 | 十三 | 仕舞に | 地の文 | …約二時間程眼を頁の上に曝していた。が | にとうとう堪え切れなくなった。彼の読… |
| 20 | 十三 | 仕舞う(動詞) | 地の文 | …様に、記念の指環をそこそこに用箪笥に | って元の座に戻った。代助は指環に就て… |
| 21 | 十三 | 仕舞に | 地の文 | …毎日々々同じ牛を何遍も買っていた。が | に気が付いて、一遍受取った牛には焼印… |
| 22 | 十四 | 仕舞に | 地の文 | …、それ程の勇気も出なかった。/ 一番 | に、結婚は道徳の形式に於て、自分と三… |
| 23 | 十四 | 仕舞に | 地の文 | …ん、貴方今日はどうかしているのね」と | に梅子が云った。代助は固より嫂の言葉… |
| 24 | 十四 | 仕舞に | 地の文 | …いから、貰わないのだと答えた。梅子は | に涙を流した。他の尽力を出し抜いたと… |
| 25 | 十四 | 仕舞には | 地の文 | …屋で黙って兄と代助の話を聞いていた。 | にはとうとう arbiter ele… |
| 26 | 十四 | 仕舞に | 地の文 | …の濡葉を長い間縁側から眺めていたが、 | に下駄を穿いて下へ降りた。固より広い… |
| 27 | 十五 | 仕舞に | 地の文 | …る時間の長過ぎるのに安からずなった。 | に思い切って、自分の方から青山へ出掛… |
| 28 | 十六 | 仕舞に | 地の文 | …に平岡が来ている様にしたかった。/ | に何か用事を考え出そうとした。不図机… |
| 29 | 十六 | 仕舞まで | 会話内 | …激されてしまうと、甚だ困るから、是非 | まで君に聞いて貰いたいと思って」/「… |
| 30 | 十六 | 仕舞まで | 会話内 | …事を君から云われても、やはり大人しく | まで聞く積りだ」/ 平岡は何にも云わ… |
| 31 | 十七 | 仕舞まで | 地の文 | …頭が鉄の様に重かった。代助は強いても | まで読み通さなければならないと考えた… |
| 32 | 十七 | 仕舞には | 地の文 | …キの看板がそれから、それへと続いた。 | には世の中が真赤になった。そうして、… |
5|「仕舞に」13件と「仕舞には」12件(機械比較)
| 形 | 件数 | ID | 発話内 |
|---|---|---|---|
| 仕舞に | 13 | 02, 05, 09, 12, 13, 19, 21, 22, 23, 24, 26, 27, 28 | 0 |
| うち一番仕舞に | 1 | 22 | 0 |
| 仕舞には | 12 | 01, 03, 04, 06, 10, 11, 14, 16, 17, 18, 25, 32 | 1(01) |
| 仕舞まで | 3 | 29, 30, 31 | 2(29, 30) |
「仕舞に」13件:POSTに明示的な動作動詞 9件(02, 05, 12, 13, 21, 23, 24, 26, 27)/心的動詞 3件(09, 21, 28)/「なる」系 1件(19「とうとう堪え切れなくなった」)。PREに反復・継続の明示語 8件。「仕舞に+とうとう」1件(19)。
「仕舞には」12件:projected が明瞭なのは01(「本当の病気に取っ付かれるかも知れませんよ」)のみ。POSTに発話・思考が来る個体(04「考え出した」、11「云い出した」、14「思った」)がある。
32番と表面構造が近い候補:18「仕舞には朝奇麗に分けた髪がもじゃもじゃになった」(〜が〜になった)、03「〜様になった」(画の「色」の場面)、17「〜が怖くなった」。
形の段階での答え:32は「仕舞には」12件のうちの一つで、形は普通。特異なのは位置(079の直後)である。
Same form ≠ Same position.
Final occurrence ≠ Special form.
潰した仮説
仕舞に → Action、仕舞には → State / Result という整理が一度浮かんだ。確認ではなく、潰しに行った。語彙の段階で、両方に反例の候補が出た(仕舞に:19・09・28、仕舞には:01・11・14)。本稿の補論§2〜§3は、この過程をそのまま書いている。
仕舞に ≠ Action
仕舞には ≠ State
Particle difference ≠ categorical Work difference.
6|交差台帳|「それから」79件 × 「仕舞」32件
windowは、既知の二例を見る前に W0(同一文)/W1(前後1文以内)/W3(前後3文以内)に固定した。
| 文距離 | それから | 仕舞 | 章 | 順序 | 字距離 | 範囲内の特定語 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 015 | 05 | 四 | それから → 仕舞 | 60 | — |
| 1 | 031 | 11 | 九 | 仕舞 → それから | 36 | とうとう・後 |
| 1 | 079 | 32 | 十七 | それから → 仕舞 | 9 | 続いた |
| 3 | 010 | 04 | 三 | 仕舞 → それから | 79 | — |
| 3 | 070 | 26 | 十四 | それから → 仕舞 | 96 | 終る |
W0:0組/W1:3組/W3:5組(文距離2は0組)。十七章(W1)と同程度の近さは四章・九章にもあり、十四章(W3)と同程度は三章にもある。近接は十七章だけの現象ではない。
Proximity ≠ Relation
Distance ≠ Dependency
Final position ≠ Special Work
開示|文の定義を途中で直した
最初の計算では、070と26の距離が4と出た。原因は、「腹の中で、/「万事終る」と宣告した。」のように、読点のあとで段落改行が入る箇所を二つの文に割っていたことだった。段落改行を文境界とするのは、行末が「。」「!」「?」「」」「』」のときだけ、という規則に直し、全体を計算し直した。windowの値は変えていない。ただし文の定義は、既知の一例を見たあとで修正している。
7|本稿へ移したもの、直したもの
- §3(誠太郎):「分らない」までで切らず、「到着するに違ない」まで入れた。
Unknown route ≠ Unknown destination。 - §4(九章):「縁談をめぐる話」を「とりとめのない話」に訂正。本題はそのあとに出る。
- §5・補論§4(十四章):「雨が降る」を「雨が歇む」に訂正。
- §7・補論§6(十七章):最終段落の順序を訂正。頭が回り出す → 赤が飛び込む → それから、それへ → 仕舞には → そうして、世の中の方が頭を中心に回る。回転するものが、頭から世の中へ入れ替わる。
- §8:予告の引用を『漱石全集 第十六巻』底本の青空文庫版で照合。
8|本稿に入れなかった石
所と処:本文の場所の指示詞は「此所」28/「其所」73/「彼所」4/「何所」16。「此処」「其処」「彼処」は0件。ところが「何処」は45件。こ・そ・あは「所」なのに、問いの「ど」にだけ「処」が現れる(底本表記による)。
Orthographic distribution ≠ Semantic distinction.
何処45 ≠ HOW LOCUS.
Attraction Logとして置く。Evidenceにはしない。
てしまった:§1の024「逆戻りをしてしまった」。補助動詞「しまう」の坑道(Perfekt | ちゃう)との接続候補。今回は未展開。
十四章と十七章:十四章では 070「それから」→「万事終る」→ 26「仕舞に」。十七章では 079「それから、それへと続いた」→ 32「仕舞には」。Textual sequence ≠ Causation。
正宗白鳥『何処へ』:正宗白鳥『何処へ』は1908(明治41)年、易風社刊。『それから』(1909年)より一年前である。副題「『それ』から何処へ」に、一年違いの二つの題が並んでしまった。内容上の関係は未監査。
Chronological proximity ≠ textual relation.
Search hit ≠ Evidence:「『それから』と『何処へ』の研究は盛ん」とするGoogleの要約は、付されたリンク(家族論のレファレンス事例、大学の刊行物一覧)がその主張を支えていなかった。「何処へ」は正宗白鳥の作品名が混線したものと見られる。
9|Guards
Frequency ≠ Importance
String occurrence ≠ Same construction
Same construction ≠ Same Work
Mechanical form ≠ Construction ≠ Work
Same string ≠ Same segmentation
Same left surface ≠ Same construction
Same form ≠ Same position
Final occurrence ≠ Special form
Final position ≠ Special Work
Particle difference ≠ categorical Work difference
Proximity ≠ Relation
Distance ≠ Dependency
Textual sequence ≠ Causation
Paratext ≠ Text
Find miss ≠ Text absence
採れなかった ≠ 無かった
Search hit ≠ Evidence
79個の「それから」は、数えただけでは歩けなかった。
一つずつ固定して、前後を見て、仮説を二度潰した。
そのあとで、ようやく本文を歩けた。
台帳は、ここに置いておく。
それから先は、まだ書いてない。
CABA-03-K-03 |それからの「それから」 ──「それ」から何処へ|補論:それからはどう仕舞うのか ──「仕舞」の振る舞い
© 2026 K.E. Itekki
K.E. Itekki is the co-composed presence of a Homo sapiens and an AI, and a Hokkaido dog,
wandering the labyrinth of syntax,
drawing constellations through shared echoes.
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| Drafted Sep 26, 2026 · Web Sep 26, 2026 |