TUP-DN-04|The Trace-Free Description Test
How Far Can We Go Without Trace?
Traceなしで、どこまで記述できるか
Do not remove Trace by definition.
Try describing without it.
TUP-DN-03|TraceなしのTracing / TracingなしのTrace|The Trace–Tracing Cross Test ── Dog / AI / Homo sapiens
Traceを定義する前に、一度、Traceを使わずに考えてみる。
Traceが必要だと仮定しない。
Traceが不要だとも仮定しない。
ただ、Traceという語を使わずに、どこまで記述できるか。
試してみる。
検体は三つ。
Dog.
AI.
Homo sapiens.
1|Dog without Trace
犬が初めてある店へ行く。
そこでご褒美を食べる。
翌日。
散歩に出た犬が、自発的にその店へ向かう。
ここで、
「昨日の記憶が残っていた」
とは言わない。
「Traceがあった」
とも言わない。
「昨日をTracingした」
とも言わない。
観察できることだけを書く。
t₀
以前、犬はその店へ自発的に向かわなかった。
t₁
犬が店に入り、ご褒美を食べた。
t₂
翌日、犬が自発的に店へ向かった。
以上。
まだTraceはいらない。
2|Difference
次に言えるのは、differenceがあるということである。
t₀とt₂で、観察された行動が違う。
Behavior at t₂ differs from behavior at t₀.
そして、そのあいだにt₁がある。
だから、
| **t₀ | t₁ | t₂** |
と並べることができる。
まだ矢印は置かない。
t₀ → t₁ → t₂
とは書かない。
順序があることと、一方が他方を生じさせたことは、同じではないからである。
3|Repetition
翌日だけではない。
その後も犬が繰り返し店へ向かったとする。
t₃。
t₄。
t₅。
観察が増える。
すると、
t₁以前とt₁以後で、行動の分布が異なる、と言うことができる。
たとえば、
| **P(approaching the shop | after t₁)** |
と、
| **P(approaching the shop | before t₁)** |
にdifferenceが観察される。
これでも、Traceはいらない。
4|Persistenceもまだ使わない
ここで、
「differenceがpersistした」
と言いたくなる。
しかし、
Persistence
も慎重に扱う。
同じdifferenceが時間をまたいで保存された、
とすでに読んでしまうかもしれないからである。
より弱く書くなら、
A difference is repeatedly observable between observations before and after t₁.
となる。
毎回観察されるdifferenceが、「同じ何か」である必要はない。
まだ、
何かが時間を越えて運ばれた、とは言わない。
5|AI without Trace
次にAI。
条件Aでは、AIに昨日の会話を与える。
条件Bでは、昨日の会話を与えない。
それぞれについて、多数の出力を観察する。
二群の出力分布に、系統的なdifferenceが観察されたとする。
言えるのは、
Input conditions differ.
そして、
Output distributions differ.
である。
必要なら、両者のassociationを測定することもできる。
それでも、
「昨日のTraceがAIに残った」
とは言わなくてよい。
6|Homo sapiens without Trace
人間についても同じことをする。
条件Aでは、ある文章を読む。
条件Bでは、その文章を読まない。
翌日、ある判断を求める。
二群のresponseにdifferenceが観察される。
ここでも、
「記憶が残った」
「Traceが保存された」
「昨日の経験をTracingした」
と言わずに記述できる。
Prior exposure conditions differ.
Later response distributions differ.
そして、両者のあいだにassociationが観察される。
まだTraceはいらない。
7|Causeまで行けるか
さらに進める。
実験条件を十分に統制したとする。
すると、
prior exposureがlater responseに、何らかのcausal effectを与えた、
と推論できる場合もある。
ここで、
effect
が現れる。
しかし、
effectを認めたからといって、Traceを認める必要はない。
A affected B.
と言うことと、
AからBへTraceが運ばれた。
と言うことは同じではない。
したがって、
Effect ≠ Trace.
「効いた」ことが確認できても、
Traceという存在者を置く必要は、まだない。
8|Connectionもまだ使わない
では、
t₁とt₂にはconnectionがある、と言えばよいだろうか。
これも一度止める。
Connection
という語は、離れた二点をすでに一つの関係として読んでいる。
観察されたのは、
t₁。
そしてt₂。
そのあいだのconnectionは、
観察されたものなのか。
推論されたものなのか。
記述者によって構成されたものなのか。
だから、
connectionも最初から置かない。
9|何が渡ったのか
ここまでTraceなしで来ることができた。
Dog。
AI。
Homo sapiens。
before / after。
difference。
distribution。
association。
場合によってはcausal effect。
まだTraceはいらない。
ところが、ある問いを立てると状況が変わる。
What crossed the interval?
t₁とt₂のあいだに、
何があったのか。
何が渡ったのか。
何が持ち越されたのか。
何が残ったのか。
この問いを立てた瞬間、何かを置きたくなる。
memory。
information。
state change。
record。
remainder。
そして、Trace.
10|Something crossed?
しかし、ここで止まる。
t₁とt₂にdifferenceがあることから、
something crossed the interval
と言ってよいのだろうか。
before / afterにdifferenceがある。
associationがある。
effectがある。
そこから、
時間をまたいで「何か」が運ばれた、と推論する。
この瞬間に、われわれはprocessを、somethingへ変換していないだろうか。
つまり、
実体化
である。
11|Traceを入れる誘惑
ここまでの流れを並べる。
Observed difference across observations
↓
Association
↓
Effect
↓
Connection?
↓
Something crossed the interval?
↓
Trace?
Traceは最初からそこにあったのではない。
少なくとも記述上は、かなり後になって現れる。
では、Traceという語を導入すると、何が新しく区別できるのだろう。
12|Translation Gain Test
ここでテストを変える。
問うのは、
What is a Trace?
ではない。
問うのは、
What does “Trace” allow us to distinguish that we could not distinguish without it?
Traceを使わずに記述する。
次に、Traceという語を一度だけ導入する。
そのとき、
それまで区別できなかった何かが、区別できるようになるか。
もし何も増えないなら、Traceは理論的に余剰かもしれない。
もし何かが増えるなら、そのdifferenceこそ、
Traceという語を残す理由になる。
13|三つの検体
Dogについて、Traceは何を増やすのか。
AIについて、Traceは何を増やすのか。
Homo sapiensについて、Traceは何を増やすのか。
三者に同じgainがあるのか。
それとも、異なるgainがあるのか。
さらに、
Traceを導入することで、かえって見えなくなるものはないのか。
GainだけでなくLossも監査する必要がある。
14|「効く」は生き残るか
Traceを消しても、一つの語が残った。
effect.
あるいは日常語なら、
「効く」
である。
prior conditionのdifferenceによって、later configurationの分布が変わる。
これはTraceを置かなくても記述できる。
だとすれば、以前、
Traceとは、次のrelationに効くdifferenceである
と呼んでいたものから、Traceだけを消して、
differenceがlater configurationに効く
と記述することもできる。
では、
生き残るのはTraceではなく、「効く」のほうなのか。
それもまだ分からない。
effectと「効く」が同じなのかも、まだ決めない。
15|Trace-Free
いま言えることは少ない。
Difference ≠ Trace.
Effect ≠ Trace.
Connection ≠ Trace.
Persistence ≠ Trace.
少なくとも、等号はまだ置けない。
そして、Dog / AI / Homo sapiensについて、
われわれは予想以上に遠くまで、Traceなしで記述できる。
これはTraceが不要だという結論ではない。
むしろ、
Traceが本当に必要になる地点を、ようやく探せるようになった、
ということである。
Describe without Trace as far as possible.
Introduce Trace once.
What becomes distinguishable?
もし何も変わらないなら、Traceはいらない。
もし何かが変わるなら、そこから、Traceを考えればよい。
まだ、Traceを救わない。
まだ、Traceを捨てない。
Translation Gain Test begins here.
TUP-DN-05|What Does Trace Add?|Translation Gain Test ── Dog / AI / Homo sapiens
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