PS-NL10|交渉主義宣言

── ミニマル合意とマキシマムZURE


宣言

交渉とは、完全な合意を目指すことではない。
それは、不一致=ZUREを尊重しつつ、最小限の合意にとどまる実践である。

熟議民主主義が「最大合意」を正統性の源泉としてきた時代は終わった。
多文化社会とAI時代において、最大合意の追求はもはや存続の条件ではない。
未来の更新可能性を開くのは、「ミニマル合意 × マキシマムZURE」という交渉原理である。


存続可能性の比較

熟議はしばしば「一致=正統性」とみなす。しかしその一致は、表層的な同意や、反対意見の沈黙によって成立するにすぎない。そこには「合意幻想」が潜んでいる。
合意は目的そのものではなく、むしろ最低限の安全装置にすぎない。最大合意を追い求めることこそが、異論を抑圧し、更新の可能性を閉ざすことにつながる。

最大合意は一見すると安定をもたらす。しかしそれは、不一致を抑圧することで成り立つ安定にすぎない。抑圧されたZUREは、やがて制度や共同体を内部から崩壊させる。

対して、最小限の合意は不完全であり、不安定である。しかし不一致を温存するがゆえに、更新と調整を繰り返す余地を持ち続ける。その柔軟性こそが、真の存続可能性を保証する。

だからこそ、交渉リベラリズムを選ぶのである。


実践の射程

交渉リベラリズムは、沈黙の自由、退出の自由、交渉しない自由を尊重する。
犬とも、子どもとも、AIとも、猫とも、嫌いな相手とも──
関係は常にZUREを抱えたまま、最小限の共存条件を築く。


結び

交渉とは、痕跡(過去)と余白(未来)のあいだで、行為(現在)を更新するプロセスである。
それこそが、責任空間の創出であり、新しい政治と倫理の原理である。

本宣言をもって、我々は「最大合意の時代」から「最小合意と最大ZUREの時代」への移行を告げる。


🏛️ 交渉的リベラリズム|Which starts Politics from? ── 政治は不一致からはじまる


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| Drafted Sep 29, 2025 · Web Sep 29, 2025 |