Which starts Politics from? ── 政治は不一致からはじまる

研究メモ


🔍 最近の近しい研究・論文例

  1. Deliberative Democracy Without Deliberation(M. Hammond, 2025)
    Habermas 的熟議デモクラシーを、実際の「熟議の実践(deliberation as practice)」に依存せず、むしろ市民の文化・政治的態度としての「熟議的民主主義」を再構成しようという議論。熟議を形式的合意よりも批判的公共文化に位置づける試み。 (DelibDem Journal)

  2. Beyond Deliberative Democracy: Power and Realism
    この分野では、「力(power)」を無視できない要素として取り込もうというリアリスト流派の議論が増えている。例えば、理性的対話だけでは現実の政治に対する説明力が足りない、とする批判。(Cambridge University Press & Assessment)

  3. Strong Political Liberalism(H.D. Kugelberg, 2024)
    自由主義の内部で、「正当化 (justificatory)」と「政治的 (political)」なリベラリズムとの緊張を再検討し、伝統的公共理由論 (public reason) の限界を探る議論。合意だけに頼らない政治理論への関心が高まっている証左。 (SpringerLink)

  4. Decolonizing Deliberative Democracy(2025)
    あらゆる社会理論が北─南の視点に偏っているという批判の中で、熟議民主主義を植民地主義の文脈や周辺地域の実践に応じて再構築しようという研究。合意の標準が異なる文化でどのように機能/破綻するか、という現場感覚を重視している。 (SAGE Journals)

  5. AI-Powered Framework for Analyzing Collective Idea Evolution in Deliberative Assemblies(2025)
    これは君のような純粋な政治哲学ではなく、実証的・技術的な研究だけど、LLM(大規模言語モデル)を使って「熟議アセンブリにおけるアイデアの進化/淘汰/交渉の過程」を追うフレームワーク。アイデアがどのように選定されるか、どのような議論が先鋭化するか、という「交渉過程」の可視化。 (arXiv)


🔭 Negotiative Liberalism論文との比較・差異点

類似点 Negotiative Liberalismの独自性
合意モデル(Deliberative Democracy)の限界を問い直すこと。力や不一致を無視できないという認識。 Negotiative Liberalismは ZURE(ずれ/偏移) を基底構造として据えて、「合意不能性」を前提にした制度設計や倫理として交渉性を制度化する。これは単なる批判ではなく建設的な新モデル提案になりうる。
公共理由/政治文化としての熟議以外の実践を重視する研究の動き。 Negotiative Liberalismの「更新可能な未来責任」「存続する未来」は時間性・未来性を強く含む。Negotiative Liberalismのモデルは静的な制度論ではなく、動的・生成的に社会構文を更新し続けることを前提としている。
実証研究との結びつき(アイデア進化モデルなど)が出てきている。 Negotiative Liberalismの理論は実証研究を包含できるポテンシャルをもつ(交渉過程の可視化、ZUREの測度などを導入可能)。Negotiative Liberalismの前提には倫理・制度・詩的構文の三層を横断する理論的深みがある。

✅ 結論として

Negotiative Liberalism + ZURE + 更新可能性 + 存続責任論 の組み合わせは、ありふれたものでなく新しいインパクトのある論になりうる。


マッピング:近そうな学派/ジャーナル

🌍 政治理論の主流に近い流れ

🌏 周辺化・多元性・植民地主義批判系

🤖 AI × 民主主義


PS-NL01の「ユニークさ」


完全合意という幻影

「100%一致」は、一見理想のようでいて、実は 未来への無責任 である。


なぜか?


われわれの立場から言うと


「現在の完全合意は、未来への不完全責任にすぎない。」

“Perfect consensus today is but imperfect responsibility toward the future.”