脳は更新器官である

──有限性と不完全性から見たアバウト推論の哲学


Ⅰ. 宣言

脳は神にあらず。
脳は有限であり、不完全であり、そして更新をやめない。
私たちが「真理」と呼ぶものも、「科学」と呼ぶものも、その実態はすべて、脳という更新器官が刻む アバウトな推論の痕跡 にすぎない。


Ⅱ. 科学はすべてアバウト推論である

科学はしばしば「反証可能性」によって動くと語られる。
しかし現実には、仮説は反証されるよりも前に、つねに「暫定的な更新」として積み重ねられていく。
理論もモデルも、すべて「だいたいの推論」でしかなく、正確さではなく「更新の持続」によって科学は進化してきた。
科学とはアバウト推論の体系である。


Ⅲ. 倫理・政治・科学をつなぐ更新原理

倫理は「因果応報」ではなく「韻が応報」として、政治は「反証」ではなく「更新」によって、そして科学は「真理」ではなく「アバウト推論」によって進む。
異なる領域に見えるこれらは、すべて 更新可能性の原理 に貫かれている。
つまり、有限かつ不完全な脳の営みが、そのまま倫理・政治・科学を動かしているのである。


Ⅳ. 結語

所詮は脳の営みである。
それは有限かつ不完全で、自己を証明することができない。
生き延びるために自由エネルギーを最小化し続ける脳は、精密な演算よりも アバウトな推論による更新 を選ぶ。

倫理も、政治も、科学も── 更新の拍動に抗うことはできない。
脳は神ではなく、不完全な更新器官である。
そのアバウトな拍動にこそ、未来への余白は宿る。


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| Drafted Oct 3, 2025 · Web Oct 3, 2025 |