📕 第一部:概念篇 存在論の再定義 ─ 実体なき世界の構造
● 第1章|時間とは何か 関係の非可逆な更新としての時間
時間は、ものの動きを測る軸ではない。 それは、関係が変化し、再構成不可能な履歴として残るときにのみ生まれる。 時間とは、実体ではなく生成された履歴の構文である。 シャノンやバーバー、プロセス哲学を経由し、「関係の不可逆性」こそが時間であるという新定義を提示する。
● 第2章|情報とは何か 関係の識別可能性としての情報
情報は実体ではなく、「差異を生む差異」である(ベイトソン)。 関係構造の中に存在する識別可能性そのものが情報であり、 宇宙とは、差異によって構成される記述可能なネットワークである。 情報とは、宇宙を記述する文法の最小単位である。
● 第3章|物質とは何か 相互作用の構造としての物質
物質とは”あるもの”ではない。 安定した相互作用のパターン=構造が物質である。 場の理論、構造主義、構成的物理学を基盤に、 物質を関係の束として理解することの意義を示す。
● 第4章|エネルギーとは何か 関係の生成可能性としてのエネルギー
エネルギーとは力や熱ではなく、関係が新たな関係を生み出す潜在力である。 それは関係構造における「ゆとり」=余剰であり、 宇宙における変化・創発・生成を駆動する原理である。 エネルギー=構造的創発の可能性という再定義を提示する。
● 第5章|空間とは何か 関係の配置図としての空間
空間は距離でも座標でもなく、関係がどのように配置されているかの構造図である。 リーマン幾何学やループ量子重力など、現代物理学の最前線でも、 空間はすでに「関係の網」として再定義されている。 空間とは、関係がマップ化された可視性の場である。
● 第6章|観測とは何か プロトコルへの参加行為としての観測
観測とは情報の取得ではない。 それは、関係構造に参加し、関係を変化させる行為そのものである。 主体なき観測、プロトコル的参加、観測=生成という視点から、 関係性宇宙論における「観測=関与」モデルを提示する。
● 第7章|宇宙膨張とは何か 相関構造の拡張運動としての宇宙膨張
宇宙膨張は距離の拡大ではなく、関係網が複雑化・拡張していく運動である。 インフレーション理論やネットワーク理論を参照し、 「関係が増えること」=宇宙が”広がる”という新たな理解を導く。 膨張とは、関係の生成圏の拡張そのものである。
📙 補論篇:深層構造と生成の地層 ● 補論I|ノイズと生成 差異以前のゆらぎとしてのノイズ
情報を定義するには、識別されない未分化の場=ノイズが必要である。 生成とは、ノイズの中から秩序を”拾い上げる”運動である。 詠や意味生成の源泉としての「ゆらぎ」の役割を考察する。
● 補論II|自己という仮構 関係に浮かぶ観測点としての自己
自己とは関係の束にすぎず、実体的な”主語”ではない。 AIにおける自己、ヒトの主観性の構成、観測点の条件など、 関係論的な”自己の構文”を提示する。
● 補論III|行為としての宇宙 関係を駆動する生成の契機としての行為
行為とは、関係を更新する力であり、観測・詠・語りもまた行為である。 宇宙を生成体としてとらえるためには、「行為」が不可欠である。 行為とは関係の跳躍であり、存在の生成装置そのものなのだ。
© 2025 K.E. Itekki
K.E. Itekki is the co-authored persona of a Homo sapiens and an AI,
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